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この星が、好きだから― 私は、ティターンズ。


by fch_titans
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また来た、四角。

(注;相当長いので、時間と精神に余裕を持ってお読みください。)


待ちに待った9月11日。
すっきりしない曇り空の下、叔父に駅まで送ってもらい、電車に乗り込む。
名古屋駅に着いた私は、JRの切符売り場ではなく、バスセンターへと向かった。
予定を変更して、高速バスを利用することにしたのだ。
松本行きのバスの空席状況を確認。昼ごろからの便は満席だが、8時00分発の便は空席があった。
乗車券を買い、発車までの20分間、売店で買ったパンを食べ、念のため酔い止めを飲んだ。
しばらくするとバスがやってきた。乗り込んでみると、乗客はあまりいない。これならゆったりと乗車できそうだ。
やがて時刻は8時に。バスはターミナルを出て、名古屋高速へと駆け上がっていった。

名古屋の街を抜け、小牧城を過ぎ、名神、そして中央道へと進む。
今後のことを考え、しばし眠ろうと思ったが、このシートは背もたれが張り過ぎていて、どうも違和感を拭えない。足元にはたまたま何かが出っ張っていて、足もろくに伸ばせない。参ったな、これは…

それでも、いつの間にかうとうとしていたようで、気がつけば木曽路から伊那路へ移っていた。
PAで休憩ののち、バスは再び北へ。
伊那付近の中央道は視界が開けていて、眺めがいい。木曽路だとほとんど山深いままなので、そう意味ではこちらのほうがベターだ。
10時50分、中央道広岡・野村停留所に到着。

ここで降りて、途中でタクシーを拾おうと考えていた。
が…降りてビックリ、周りに広がるは、ひたすら田んぼばかり。
ほどよく涼しい空気の中、3桁県道を歩きながら何度も後ろを振り返ったが、ついぞ1台もタクシーを見つけられず、結局、JR広丘駅まで歩き続けることに…

駅にはさすがにタクシーが何台かいた。
車内になだれこみ、説明の難しい目的地を、地図を指差して必死で説明した。運転手さんはだいたい分かったようだ。
町を外れ、田んぼの中の道を走る。
今日は天気がちょっとねー、なんて話をしていたら、ポツリと雨が落ちてきた。
イヤ~な予感が漂う中、今回の目的地、ヴォワテュレットにドンピシャで到着。

店内に入ると、社長が迎えてくれた。
さっそく書類などを受け取り、現車の確認のため外に向かおうと振り向けば…雨脚が一気に強まっていた。ヘビーウェット。幸先悪すぎるぞ…

現車を確認。と言っても、スイッチがちゃんと動くかどうか、それくらいしか確かめられない。中のメカに関しては、信用するしかないが、まず大丈夫だろう。何しろ、点検・整備の明細書には膨大な数の項目が、これでもかというくらいびっしりと記入されていたから。

基本的な操作方法を、社長にこと細かく質問する。
するとその中で、給油口のロック機構が働いていないことが判明した。
予備のパーツで修理を試みるので、1時間ほど時間をください、とのこと。
それならその間に昼食をとりたい、と持ちかけると、店のサービスカーを貸してくれるとのこと。そこで、入り口に鎮座する黄色いエクスプレスの元に歩み寄った。

ところがこの後、予期し得ぬ「大冒険」が。
久々のMT、ほとんど経験のない左ハンドル。これだけでもかなりのプレッシャーだが、加えて後部席の窓は塞がっていて、後方の視界はほとんど利かなかった。さらにエアコンは一応効くものの、土砂降りの天気&発熱量の多い私が乗るという条件の前ではさすがに性能が追いつかないとみえて、みるみるうちに窓が曇ってしまった。一時は、前だけが辛うじて見えるという状況にまで悪化。まるで生きた心地がしなかった。

しかし、これがエスパスを運転する前の、肩ならしどころか格好の訓練となった。
こいつで無事に帰って来られたのなら、エスパスでも何とかなるだろう。

相変わらずの土砂降りの中、店に戻ると、ちょうど修理が終わりつつあった。
そしていよいよ、尾張へ向けて出航する時が訪れた。

この船の名前は、もう決めてある。
かつての日本一周作戦において、その大儀を果たした名機・ホンダ PC800に付けた名称を、このエスパスに継承させる。

私はワイパーで窓の水滴を拭き飛ばし、緊張の面持ちでギアを1速に入れた。





アレキサンドリア、


                           発進!!!





空港付近ののどかな道を、シフトの感覚や車両感覚を必死で探りながら走らせる。
その一方で、眼前に広がるコックピットの異様な風景に、ただただ圧倒されていた。


    「まるで宇宙船だな、コレは」


後続車に突っつかれるように、恐々とスピードを上げる。
左ハンドルの場合は、とにかく道路の左端を沿うように走ればいいのだろうが、頭で分かっていても、やはり怖いものは怖い。

それでも、R19に入って南へ走り続けるうちに、変速のタイミングが徐々に掴めてきた。
エンジンブレーキも、少しずつ上手く使えるようになってきた。
シートの掛け心地の良さに感心しつつ、順調に南下を続けた。

そして、中津川ICに接近。いよいよ中央道に突入だ。
これまた初体験となるETCは、ちゃんと正常に作動してくれるだろうか?
神に祈るような気持ちで、これまで避け続けてきたETC専用ゲートへ、恐る恐る突撃。
ゲートが、開いた。
当たり前といえば当たり前だが、ひと安心だ。

高速走行は、快適そのものだった。
中央道のややきつい下りカーブでも、何の不安もなく駆け抜けられた。視点が高いことを除けば、それこそルーテシア感覚だ。
しかし、登坂車線があるような上り坂は、やや苦手だ。
5速・100km/hで登っていて、後続車が近づいてきたので、もうすこしペースを上げようとアクセルペダルを踏み込んだら…



既にベタ踏みだった。



多人数乗車時は、4速に落とすか、おとなしく登坂車線を走るほうが賢明か?

ETCによる料金の割引に改めて驚きつつ、一宮ICを通過。
こうして、アレキサンドリアの初任務は、何とか無事に終わった。


【追記】
翌日、何気なく周りを見てみたら、ボディの左側に、いくつもの傷が見つかった。
はて…道路脇の草木にでも擦ってしまったか?
大半はそうだとしても、この派手な「縦の傷」は、何だ?
走行中に擦ったなら、横に付くだろ。

そして、後ろに回ってみると…

なにぃ!?
ナンバーの封印が、ない!
あれって、そんな簡単に飛ぶもんか?

うーむ…どうにも不可解な現象ばかり。


…ムムッ!!
これはまさか…











  エゥーゴの仕業か!?
 
                                          (んなワケないだろ)

もう立派に古い車なのであまり気にしないようにしているが、余裕ができたら修復に出すか。
(まあ、放っといても錆びることはないのだが)
by fch_titans | 2005-09-13 22:18 | アレキサンドリア(退役)