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この星が、好きだから― 私は、ティターンズ。


by fch_titans
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カート耐久顛末記

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ついにこの日がやってきた。カート耐久レース、デビューの日である。

朝、凍りついたこだま号のドアを開け、颯爽と乗り込むと一路幸田を目指した。
R23で、日曜の朝なのになぜか工事をしていて渋滞にハマり、余裕だった時間が微妙になってしまったが、どうにか時間までにサーキットに到着できた。
駐車場には「それらしい」車がゴロゴロいて、自分のクルマがやたらおとなしく見えた。

すが選手が急用のため欠場。それにより園芸チームが一人減り、私は結局、当初の予定通り園芸チームに加わった。正直、ホッとした。これでプレッシャーを感じず、のびのびと走れるだろう。

ブリーフィングのあと、急いでピットへ。抽選により、園芸チームは1号機になった。なんでもこのマシンは昨年のチャンプマシンらしく、とても乗りやすいらしい。3軍の園芸チームがこんなん乗っていいのかな?
ちなみにAチームは、またしても4号機。乗りにくいと囁かれるマシンだそうで、ちょっと気の毒だが、健闘を祈るしかない。
カート耐久顛末記_b0066153_17503143.jpg
「いよいよ予選、タイムアタックです」
「いよいよですね」
(SUPER BELL”Z 「Formula Man」より)


予選は30分間。5人チームの場合、一人3周くらいしかできず、しかも1周目はインラップ、3周目はアウトラップなので、アタックできるのは事実上1周のみ。まるでF1みたいだ。
私は3番目にアタックした。コース図に鉛筆で何度も書き込んだ走行ラインを反芻し、それに乗せるようにハンドルを切る。が、やはり1ヶ月ぶりとあって、思うように曲がれず膨らんでしまう。
あと、色と操作性を重視して選んだグローブが夏用だったため、手がメチャメチャ冷たい! 風防がないので、ダイレクトに走行風が当たってしまう。そりゃ冷えて当然だ。やっぱ冬は冬用じゃないとダメか。
マシンを降りると、早くも握力が半減していた。この1ヶ月でかなり鍛えたのに、そんな…!?
結局タイムは1分11秒台。やはりこんなものか。

5人目の選手がピットに戻ってきた。が、時間がまだ5、6分残っている。もったいないので、急遽私がもう一度コースに出ることになった。今度は厚手のグローブをはめて、コースに飛び込んだ。
そして最終周あたりで、ふとあることに気付いた。
それまで私はコーナーで、アウト側に体重をかけていた。そのほうが外側にトラクションがかかりやすいと思っていたのだ。
しかしこの時、試しにイン側に体重をかけてみたところ、思いのほか曲がれたような気がした。この方がいいんじゃないのか? 少しだけ、何かを掴んだ気がした。

この最後のあがきで、1分09秒08を記録。結局予選最下位は変わらなかったが、決勝に向けて意義のある走りができた。
しかし…チームトップタイムをマークしたことで、あえなくスタートドライバーになってしまった! やっばいなぁ… どーしよう? ただ、最後尾スタートのため、後ろから突っ付かれる心配はない。
カート耐久顛末記_b0066153_123579.jpg
ピットでのひとコマ。メンバーはコース脇や他ピットに出向いていたようで、かなり閑散としていた…

予選終了から10分後、慌ただしい中準備を済ませ、マシンに乗り込み、最後にピットを離れてコースイン。フォーメーションラップである。タイヤを温めるべくステアリングを左右に小刻みに振る。そしてスターティンググリッドについた。
スタートを待っている間、実況アナウンサーが各チームを紹介。一番最後に園芸チームがコールされた。なんか恥ずかしいな。しかも時間が余ってしまい、もう一度紹介されたので、やればよかったなと後で思った「宮尾すすむ」のポーズでキメといた。

そんなことをしているうちに、とうとうスタート10秒前だ。レッドシグナルが点灯し、パッと消えた。スタート!!!
一気にアクセルペダルを踏み込む。8番手のマシンとの差が、じわじわ詰まる。さすがエースマシン、加速性能が若干優れているのか?
1コーナーをクリアし、2コーナーをクリア…と、そこでまさかの光景が! 目の前でマルチスピンが発生! 恐れていた事態が起こってしまった。が、停まったマシンを本能で回避し、シケインへ。
「おおぅ、儲かった!」何台か抜いて、中盤まで順位を上げた。まさしく、棚ぼたジャンプアップである。

が、その後、抜いたマシンが追いついてきた。ペース的に見て、順当な展開だ。無理にブロックすると反則をとられる恐れもあるし、自分が原因でクラッシュを誘発しても仕方がないので、バックストレートなどで順次先へ行かせた。上位を目指すチームだとこうもしていられないが、何の呵責も感じないのは、お楽しみ集団・園芸チームの特権といったところか。
その中に、メットにマルボロっぽいマークが描かれたドライバーが…BP氏!? 何と、彼も巻き込まれてしまったのか? とにかく、私より数段速いことが分かっているので、その後ろのマシンともども先を譲った。

そうやって周回を重ねていくうちに、走りのコツを徐々に掴んできた。
体を思い切りインに傾け、全身全霊の力でコーナーを曲がる。クリッピングポイントに近づけるようになってきた。
予選ではアクセルを緩める回数がかなり多かったが、ここにきてフルタイム全開で走れるようになってきた。
腕のほうもバテていない。アドレナリン大放出の影響もあるだろうが、トレーニングの成果だろう。

10周を過ぎたあたりから、一時は離されていた8、9位にかなり接近し、ラスト数周はほぼ団子状態になった。8、9、10位の熾烈なバトルだ。「待~て待て待て待て待て~ぃ!!」叫びながら必死に食い下がる。
そんな状態が続く中、「1番ピットイン」のサインボードが出された。いよいよ私にとってのファイナルラップだ。より気合を入れて追いかける。
第1ヘアピンをクリアした所で、前車との距離が数十cmにまで詰まった。そして第2ヘアピンで、前車が若干アウトに膨らんだ。
「いける!!」私が果敢にインを突いたその瞬間、前の2台は私の視界から急に消え去った。痛恨のスピン! なんてこった、もう少しだったのに…!

思えば、このときはファイナルラップ。仮に抜いたところで、すぐピットに入らなければならない。だから無理をする必要はなかった。しかし、闘争心がそれを許さなかったようだ。あるいは若さというか、経験の少なさが出てしまったのか。

幸い後ろには全くマシンがいなかったので、方向を戻して再発進。すぐにピットに入り、マシンを降りた。ヘルメットをとり、すぐに燃焼系アミノ式をガブ飲みした。極端に喉が渇いていた。それほどに熱いバトルだった。
私のファステストラップは1分7秒839。前車に引っ張られた形となり、思いもよらないタイムが出てしまった。

レースはまだまだ続く。2番手はわさび選手。調子がいまいち上がらなかったようで、最高タイムは1分14秒546。あるいは、グローブが薄くて手がかじかんでしまったのだろうか?

3番手はイソ・ラウダ選手。後で本人曰く、3回スピンを喫してしまったそうだが、それ以外はほとんど8秒台をキープする、きわめて安定した走り。そしてチームのファステストとなる1分7秒577を叩き出した。

4番手は紅一点のNりん選手。走行前、「3周でバテますから」などと言っていたが、決勝ではほぼ割り当てに近い周回をこなした。最高タイムは1分14秒056。自己ベストを大幅に更新、さらにわさび選手を上回る躍進を見せた。

そしてアンカーはISK選手。だが、何周かしてから、タイムが1分20秒前後と極端に落ち込んだ。ピットでは「手を抜いてるんじゃないの!?」「マシンの調子がおかしいのかな?」など、様々な憶測が飛び交ったが、Nりんさんがこう言った。「なんか、傾いてない?」
言われてみれば、何となく右に傾いているように見える。すると実況アナも「おっとー!? 趣味の園芸チームですが、何かマシントラブルでしょうか?」と言うではないか。ドライバー本人もしきりに右後方を気にしている。
どうやら、パンクしているようだ。すぐに黒旗が振られ、次の周にピットに入ってきた。
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タイヤの状態を調べるスタッフと、心配そうに見守るISK選手。
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画像では分かりづらいが、上部にヒビが入り、リムがずれてしまっている。

事態は深刻だった。なんと、ホイールに深々とヒビが入っていた。
これが原因でエアが抜けたのか、先にエアが抜けてホイールが痛んだのか… 原因は定かではないが、これではまともに走れない。脳裏に「リタイア」の文字が浮かんだ。
だが、スタッフの方がホイールごとニュータイヤに交換してくれ、レース終了まで残り4、5分ほどで走行可能に。再びISK選手が乗り込み、チェッカーを目指す。

ところが、最後の最後にまたアクシデントが! 4輪のうちひとつだけが、交換直後で温まっていなかたったため、ジグザグでグリップを失い、クラッシュ!
幸い選手にケガはなく、マシンにも特に破損はなかったが、結局、チェッカーを受けることはできなかった。
何とも痛烈な洗礼を浴びた、趣味の園芸チームの初レースは、こうして幕を閉じた…。
ちなみにISK選手の最高タイムは、1分12秒208。まともに走れたのは初めの3周ほどだけと、不運に泣く結果となってしまった。次回はぜひ頑張っていただきたいものだ。

今回のレース、ベストメンバーの揃ったロストボーイズAチームでさえ5位、Bチームは8位と、全般に振るわなかった。というよりは、速いチームばかりが出揃い、レベルが高すぎたと考えるのが妥当だろう。

私個人としても、やはり他の車に突かれるとどうしても引いてしまうなど、気の弱さが出てしまったが、競り合いに慣れていなかったので仕方がない面もあるだろう。だが、得たものも多く、次につながるいい経験となった。
そして何より、これほどまでにアツくなったのには自分でも驚いた。最後の果敢な攻めがそれを如実に物語っている。参加チームの腕前にもよるが、次回は1台くらいは抜きたいものだ。

次回は3月20日。私は金欠にも関わらず、その場で次回のエントリー料を支払ってしまった。
こうなったら、とことんやるしかない。これからの1ヶ月でまた体を鍛え、ついでにバイトでもして軍資金を貯めよう。グッズはほぼ揃ったが、しいて言うならあとはグローブか? 3月ではまだ寒いので使わないかもしれないが、余裕があればドライビンググローブを買いたい。

以上、どえらい長くなってしまったが、初レースの報告を終わる。

《なお、事実と異なる表記がありましたら、メールでも書き込みでも結構ですのでお知らせください。すぐに訂正いたします》
by fch_titans | 2005-02-14 17:52 | カート