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この星が、好きだから― 私は、ティターンズ。


by fch_titans
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さらば、H市。     

先月末、赴任のため3年半に渡り駐屯していたH市の前線基地から、撤退を完了した。


昨年末から少しずつその作業を進めてきたが、いやはや、引っ越しという作業がこんなに大変だとは思わなかった。


転入の際はそれほど荷物も多くなく、また友人らの援護もあって、作業は簡単に済んだ。
心情の面においても、これから始まる新しい生活に期待する向きもあったので、その点も大きかったのかもしれない。


それだけに、今回の転出においては誠にしんどく、途中で心が折れそうになったこともしばしばであった。
3年半の生活の中で色々と物が増え、搬出計画における大まかな見込みの2倍、あるいはそれ以上はあったろうか。
運んでも運んでもなかなか減らない、本当にそう思えた。

また、シンク周り、冷蔵庫や電子レンジの内部などの汚れぶりには、我ながら閉口した。
大掃除をしてこなかったツケが、溜まりに溜まった結果である。
それらを根気よく掃除していると、時間などあっという間に過ぎ去ってしまう。


そして、運び出した荷物を本部へ運び込んだり、不要なものを処分したり(これについては、過去にないくらい思い切ってやった)。
これもまた、あれこれ考えることが多く、実に疲れた。


これら一連の作業を終えた私の率直な感想は、






「もう引っ越しはしたくない…」





転勤で数年おきに引っ越しをする諸氏は本当に大変だなぁと、つくづく思い知った今回の撤退作戦だが、それでも全ての荷物の搬出を終え、掃除もキッチリ終わらせて、何も無くなった部屋を見渡すと、不思議と達成感が湧いたというか、清々しい気分になった。


そして、その日はやってきた。
立会官(と言っても、委託を受けた業者だが)のチェックを、ドキドキしながら傍で見守る。
内心、退去費用に諭吉10人くらい請求されたらどうしようかとオドオドしていたのだが、提示された金額はそれを大幅に下回り、とりあえずひと安心である。


寒いながらも、穏やかに冬の日差しが輝く青空の下、最後まで残ってしまった荷物を満載した我が艦は、前線基地を離脱した。


さらば、H市。     _b0066153_2284781.jpg



3年半を過ごしたH市。
当初は知らない土地ということで興味があり、あちこち自転車で走り回ったりした。
着任から半年後にはウォーキングやジョギングも始め、「こんなところにこんなものが!?」という発見もいろいろあった。


基地の近くには海もあったが、運河の河口近くであったため、砂浜に波が打ち寄せるというものではなく、ひたすら港や工業地帯がひしめくといった風情ゆえ、あまり「海!」という気もしなかったような…?
それでもやはり、内陸育ちの私にとっては物珍しいので、徒歩や自転車でちょくちょく散歩に出かけたり、また朝のジョギングでは運河から港にかけて走ったりもした。
昔ながらの風情を残す運河沿いの光景は、捨てたものではない。
内地である尾張ではお目にかかれない大きな船や、水面を元気に跳ねる魚、そうそう、一度だけだが、運河の川底にエイの姿を見つけたこともあったな。


着任当初はあまりよろしくなかった道路事情も、改善というより目覚ましい進化を遂げつつある。
あと半年もすれば、更に劇的に変わりそうだが、最後まで見届けることはできなかった。


私は自炊に徹していたため、食べ歩きだとかおいしいお店の開拓をほとんどしなかったが、最後の半年は一緒に食べに行く相手がいたので、事前に調べてはあちこち食べに行ったものだ。


いざこの地を離れるとなると、なんだかんだで一抹の寂しさを感じる。
しかし、まだ所用で何度か訪れることもあるし、遊びに来ようと思えばいつでも来られる距離である。
気が向けば、またバイクでも転がしつつ訪れればいいであろう。


3年半の感謝の意を込めつつ、


さらば、H市—
by fch_titans | 2012-02-02 22:14 | 作戦報告