冬季中部縦断作戦 ②
2007年 02月 08日
御母衣ダムを出発し、さらに北へ。
ここまで聞いてきた冬MDを取り出し、「三味線MD」にチェンジ。
これは(わざわざ)この作戦のために、前日に急遽購入した2枚のCDを録音したものである。一枚は上妻宏光氏の最新アルバム『エン』、そしてもう一枚は、津軽三味線の大御所・高橋竹山の決定版(つまりはベスト?)である。前者は現代的なアレンジがなされているのに対し、後者はモロに「三味線」なので、濃い。
しかし、降りしきる雪の中、真っ白な風景を眺めながら走ってゆく場面に何ともハマるのである。
と、そのMDの2曲目に入るかそこらのタイミングで、温泉の看板が目に留まった。
温泉―
次の瞬間、3年前にスキーに行った際、激しく降る雪を眺めながら浸かった露天風呂を思い出した。
雪見風呂か、それはいいな!
私は反射的にステアリングを切り、細い圧雪路を慎重に下って行った。
アレキサンドリアを停泊し、道具を持って入り口へ。
しかし! まだ営業時間前だった。「あちゃー、12時からかぁ…」
諦めて艦内へ乗り込み時計に目をやると、時刻は11時40分。なんだ、あと20分ではないか。それなら待とう。
地図を開き、本日の進行ルートを確認しながら時間を潰していると、雪がいっそう激しくなってきた。運がいいぞ!
だが、世の中万事がうまくいくとは限らない。
服を脱ぎ、湯船に浸かるころには雪はほとんど止み、うっすらと日差しが出てきていた。
うーむ… 残念だが、今日はもうこれで風呂に入らなくてもいいので、作戦に専念できる。
気を取り直して、さらに北へ進軍だ。
いよいよ本日の目玉である白川郷が近づいてきたところで、公衆トイレを発見。
降りて用を足したついでにそろそろ昼食を摂ることにし、反対側にあった店に入った。
「飛騨牛の朴葉味噌ステーキ」などという、この地方の名物の両方取りともいえる贅沢なメニューが私を誘惑する。が、軍資金も潤沢ではないし、いちおうダイエットに取り組んでいるところなので、そんな油の多そうなメニューは…ねぇ。
結局、食べてしまったが…
腹ごしらえも済み、店の人に教わったとおりに走っていく。
「せせらぎ公園駐車場」に到着したころには、また雪が降り出してきた。
「おお、これが―」
思えば、ツーリングですぐそばを何度も通りかかっているのに、一度も立ち寄ったことがなかった、この白川郷。時間には余裕があるので、せっかくだからゆっくり歩いて回ろう。
駐車場の隣にある「総合案内であいの館」にて、白川郷マップを入手。
(置いてあったのはモノクロだったが、観光協会HPにて全く同じものがカラーで見られる)
けっこう広い上に、事前に情報収集を行っていなかったので、さっぱり分からない。
さて、どこに行けばいいのやら…
何はともあれ、川を越えないことには始まらないので、「であい橋」へと続くスロープを登ってゆく。吊橋ではあるが、さほど揺れないし、橋の下はほとんど雪なので、恐怖は感じない。某さんを連れて行ったら、橋からダイブしてしまいそうなロケーションだ。
橋のたもとで地図を広げ、とりあえず明善寺なる寺院まで行ってみることに。
観光客はいるにはいるけど、さすがに平日(+雪)のためかさほど多くはなく、歩きやすい。
寒さも忘れ、初めて生で見る風景を堪能し、たまに写真など撮りながらゆっくり散策する。
ここからは「東通り」を北へ。
この先はあまり建物が無い。ということは、引き返すのか? いやいや、そうではない。
ここまでは合掌造りを間近で見てきた。ならば、今度はマクロの視点から―
そう、展望台へ行ってみよう。
ところが、その展望台は集落の北の外れにある。となれば、一旦駐車場に戻って、アレキサンドリアでR360から回り込んだほうがよさそうな気もする。
しかし、駐車場からここまで歩いてくるのに、ものの20分もかかっていない。しかもデジカメやらビデオやら撮影しながらで、だ。これは案外近いのでは?
よーし、せっかくだし、歩いて行ってみよう!
集落を離れ、スタスタと歩いてゆく。東通りを外れ、いよいよ展望台への道へ突入だ。
道幅いっぱいに停まっているSUVの脇をすり抜け… って、何じゃこりゃあ!?
こんなとこを歩くのか?
…歩くしかないだろうなぁ。
しかし、踏み固められてゴツゴツしていて、そのくせ表面はミューが低く油断すると滑ってしまいそうで、歩きにくいことこの上ない。坂の傾斜も手伝って、かなりしんどいぞ。
何十分歩いただろう、踊り場のような広いスペースが見えてきた。ここがそうなのか?
それにしては、木々が邪魔で集落がきれいに見渡せない。これが展望台? うむむ…!?
だが、背後を振り返ると、もう少し高い丘の上に食堂らしき建物が鎮座している。ひょっとして…?
とりあえず、そこへ行ってみることに。
ビンゴだった。その店の庭先に展望台を発見!
本だかテレビだかで見たことのある白川郷の眺めが、目の前に広がっていた。
空からは優しい陽射しとともに小雪が舞い降りてくる。
私は心底思った。
「ここに来てよかった」と―
思いのほか燃料を消費したので、その店で五平餅を補給し、今来た道を下ってゆく。
やはり歩きにくいが、今度は下りなので勢いに任せてサクサク進める。
集落に降り立ったら、今度は西通りを歩いて駐車場へと戻る。
近づこうとして、雪に足を踏み入れたその刹那―
ズボッ!!!
ぎゃっ! ハマった!!
始めに踏み出した右足が、いきなり陥没! 50cm以上は埋まっただろうか?
慌てて体勢を立て直し、脱出。すぐさま周囲を見渡す。
後方に学校帰りの小学生とカップルが。み…見られたか!? 微妙なタイミングだった。
雪が積もっていて分からないが、溝か田んぼでもあったのだろうか?
ハマったのが車ではなく自分でよかったが、気をつけねば…
橋ですれ違った、観光客とおぼしき白人女性の鼻が真っ赤なのが印象的だった。
アレキサンドリアに乗り込もうと近づくと、フェンダーのあたりに見慣れぬエアロパーツが(笑)
さて、本日のメイン、白川郷探索はこれにて終了である。
時刻はもうすぐ16時。しかし、今日はまだしばらく進軍せねばならない。
頼むぞ、アレキサンドリアよ。
(つづく)
by fch_titans
| 2007-02-08 23:50
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