人気ブログランキング | 話題のタグを見る

この星が、好きだから― 私は、ティターンズ。


by fch_titans
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

いつか、また。



いつか、また。_b0066153_0142350.jpg
これは、葬儀の日の午前中に撮った海の写真である。
天草諸島の突端に程近いこの地域、西海岸は外海に面していて波も高いが、東海岸は内海のためか至って穏やかで、その代わり潮の満ち引きが大きい。これは潮が引いた状態である。
この地域では(他にもあるかもしれないけど)、「人は満ち潮の時に生まれ、引き潮の時に死んでゆく」という言い伝えがあるそうだ。もちろん科学的な根拠などないが、祖母も潮が引いてゆく時間に亡くなったのは不思議なことである。


さて、葬儀も無事に終わり、金曜にも撤収かと思いきや、この日にいきなり初七日法要と墓への納骨を済ませてしまうとのことで、滞在延長が決まった。
方々から親戚が集まりすぎて部屋が足りないため、私の家族は祭壇のある部屋で眠った。しかも敷布団が足りなかったため、私は座布団で代用である。まあでも、気が付いたら床で寝ていた(!)昨晩よりはずっとマシか。
照明を点けたままの祭壇の奥に昨日まであった棺は無く、代わりに壇上には骨壷が入った装飾箱が鎮座していた。


金曜日。この日は9時にはお坊さんがやって来て、早々と法要が始まった。
そして読経と説法が済み、骨壷を持って遺族総出でぞろぞろと歩き、丘の中腹にある墓へと向かった。
水曜の正午過ぎに息を引き取った祖母は、実に48時間以内に墓に入ることとなった。
まあ、何はともあれ、これですべてが済んだわけだ。


帰ってからはもちろん、宴会。
注文していた寿司や刺身が大量に運ばれ、飲めや食えやの大騒ぎ。
私はさすがに昼間っから呑む気はなく、食事を済ませた後、いとこのアトレーを借りてちょっとドライブへ。
3時間ほどして戻ってきたら、まだ飲んでた! 土地柄だろうけど、それにしても酒飲みばっかだなぁ…
そういう私も、夜には缶チューハイの類を買ってきて、久々に飲んでみたが。


土曜日の朝は、予想に反して冷たい雨だった。
朝食もほどほどに、出発の準備を整える。
これまた予想に反して長かった天草滞在も、ついに終了である。


この日をもって、他地域で暮らす親族は全て帰路につく。
近所に子や孫、さらにはひ孫までいるとはいえ、祖父は基本的に一人暮らしに戻ることになる。
祖母は2年半近くも入院していたため、その間もやはり一人暮らしだったから、慣れてはいるはず。しかし、金曜に最初の2家族が帰っていった際、祖父は寂しさのあまり涙を流していた。
それを見た私は、やっぱり不安でならなかった。気落ちして、健康を損なわなければいいんだけど…
後ろ髪を引かれる思いではあるが、帰らないわけにもいかない。
祖父の手を握り、「そのうちまた来るから」と約束を交わし、我々は坂道を下って行った。


北西の風が強く吹きつける中、天草の島々を走り抜け、高速に乗ってからはビュンビュン飛ばし、およそ13時間後に基地へと帰還。
比較的暖かかった天草の気候に慣れていただけに、尾張の寒さに身震いした。
by fch_titans | 2006-12-04 00:26 | その他諸々