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この星が、好きだから― 私は、ティターンズ。


by fch_titans
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去り行くあなたに…

私の目の前にある白いベッド。その上には、彼女が横たわっていた。
ビニールの容器から、点滴がぽとり、ぽとりと落ちてきて、管を通って彼女の腕へと流れ込んでゆく。
私は椅子に腰掛け、肘を膝の上に乗せ、両手を組んだまま、ただただ彼女の横顔を見つめていた。

彼女がこちらに目を向けた。何かを話しかけているようだった。
私は彼女の枕元に顔を近づけ、耳を傾けた。

「今まで、本当にありがとう」

それは、自身の運命を悟ったかのようなひとことだった。
私には、励ましの言葉をかけることはできなかった。今更、頑張れなんて言えなかった。
彼女の命が幾ばくも残っていないことは、誰の目にも明らかだったから。

「ああ…。俺のほうこそ、いろいろとありがとう。君と一緒にいた時間は、本当に楽しかったよ。この思い出は、絶対に忘れないから」
こう言い返すのがやっとだった。

しばらくの沈黙のあと、彼女は再び私に語りかけた。
もう一度、耳を近づけた私に、彼女はこう言った。

「あたし、この後どうなるのかな」

少し間を置いて、彼女は続けた。

「死んだら、もう何も分からなくなっちゃうんだよね。目の前が真っ暗になって、何も聞こえなくなって… やっぱり、怖いな」

何か、言葉をかけてあげなければ…
でも、何を話せばいい?

「あのさ…」

思わず、こんな言葉が口をついて出た。

「人間って、たとえ身体は滅びても、魂は滅びずに残るんじゃないかって、俺は思っているんだ。それで、その魂は、どこへでも好きなところへ飛んで行ける。人の心の中にもね。
死んだ人のことを思い出す時ってのは、きっとその人の心の中に、魂が宿っていると思うんだ。
だから… だから君もきっと、俺のところに来てくれよ。待ってるからさ」

それを聞いた彼女は、安らかな笑顔を浮かべながら、小さく頷いた。


ここで突然、目が覚めた。
私は、思わず呟いた。
「夢、か…」

それにしても一体、何だったんだろう?

私が見る夢は、たいがいは何の脈絡もなく、内容も支離滅裂でありえないシチュエーションばかりだ。
だが、ごくまれに、ストーリーとして筋の通った内容の夢をみることがある。

だけど…
なぜ、こんなに切ない話が夢に現れるのか?
目覚めてしばらく、今見たばかりの夢の話を反芻していると、思わず目頭が熱くなってしまった。


ちなみに、その前々日に見た夢は…

突如、ツチノコに似た巨大な蛇が、坂をすごい勢いで駆け上がってゆくのを目撃した。
私は写真に収めようとカメラを準備していると、今度は私のほうに向かってきたと思ったら、猛然と襲いかかってきた!
「うわぁー! やめれー!!」
必死に逃げているところで、ようやく目が覚めた。
あれは怖かったなぁ。

こういう夢は要りません…
by fch_titans | 2005-08-05 23:11 | その他諸々